医師の継承による産婦人科医院の全面改装です。
計画当初に、病院の雰囲気をできるだけなくし、ソフトな感覚の施設を創りたいというドクターの考えを聞きました。患者さんがリラックスして家庭的な雰囲気のなかで出産し、新生児の誕生に感動できる施設。ヨーロッパのプチホテルのような感覚の空間をイメージしました。
1階の待合室は暖色をベースにソフトで暖かみのある空間を構成しています。
垂れ壁や天井、パーティションのカーブラインやシンプルなブラケット照明がアクセントとなり患者さんがリラックスできる、ゆったりくろいだ雰囲気を演出しています。
又、ガラスのパーティションは入口からの視線を遮りながら内部の雰囲気が伝わるよう配置しました。
個室は畳敷であれば陣痛の際の様々な動きや姿勢に対応できるいうドクターのコンセプトを受け、和のイメージをいかしたスペースとしました。プリーツスクリーンがアクセントとなり空間に変化を与え単調にならないよう工夫しました。もう一つの個室はリビングの中に畳コーナーがあるような構成で、木目のパーティションで仕切れば2室としても利用できます。
新生児室・沐浴コーナーはナースセンターと接し管理しやすいよう配置しました。新生児室付近は家族や面会者が新生児と会うほのぼのした場であり、広めのスペースとし天井のカーブラインをアクセントとしました。
廊下はいかにも病院や老健施設風にならないよう、腰壁は必要最小限として、トリムやブラケット照明で変化をつけています。腰壁も軽い色目の木目としています。同様に3階食堂も天井に軽い色目の木梁をあしらい北欧風のイメージとし、出産後の家族での食事も楽しめるスペースです。ドクターの奥様が選ばれたカーテンがソフトな空間をひきたてています。
又、医院全体にできるだけ無機質的なイメージにならない色彩や素材を選びました。
ファサードの改修前は入口が閉鎖的で患者さんが入りにくいイメージがありました。塀を撤去し、歩道から中の雰囲気を少し感じながらスロープでダイレクトに入れるようにしました。又、今までは外壁上部の出窓がアイキャッチになっていましたが、1階まわりのファサードを改修することで入口の視認性を高めました。カーブしたアルミパネルと櫛引の塗り材を対比的に組合せソフトで親しみやすく入りやすい雰囲気を構成しました。
構造体に抵触しないという制限のなかで、築30年近い医院を「改装」という限界を超えた新しい医療空間として蘇らせることができたと思います。 |